議事録AIが「言っていないこと」を書く理由

AI議事録は、音声を文字にする段階と、それを要約する段階の二つで作られます。どちらでも間違いが入ります。会場のざわめきや方言で聞き取れない部分を、AIが前後の流れから「それらしく」補うことがあります。話者の区別が外れて、Aさんの発言がBさんの発言として書かれることもあります。

図1: AI議事録は文字起こしと要約の二段階で作られ、聞き取れない部分の補完や話者の取り違えが入りうる

道の駅の会議で起きそうな失敗

道の駅の運営会議で「米粉クッキーは、10月の観光イベントに間に合わせたい」と話したとします。要約では「10月に発売が決定」となっていました。「したい」が「決定」に変わっています。

別の例です。「加工場のBさんが仕入れを増やす」と書かれたのに、実際に話したのは別の人で、Bさんは何も言っていない。この議事録が関係者に配られると、取引先への約束のように読めてしまいます。

現場で感じるのは、AIの間違いは「変な文」ではなく「もっともらしい文」で起きるという点です。だから読み流すと気づけません。全文を疑うより、間違いが致命的になる箇所を絞って確かめるほうが、続けやすい運用になります。

取り違えを防ぐ運用3点

  1. 決定・担当・数字・日付は録音で照合する。 議事録の中でも、後で揉めやすいのはこの4種類です。
  2. AIが書いた行に【要確認】の印を付ける。 確認済みの行と区別しておけば、未確認のまま独り歩きしません。
  3. 配布前に、発言者本人へ自分の部分だけ確認してもらう。 議事録全体を読ませるより負担が軽く、返事も早くなります。

図2: 取り違えを防ぐ3つの運用(録音で照合・要確認の印・発言者本人の確認)

会議の進め方でも、取り違えは減らせます。決まったことは、司会が最後に「では、○○さんが10月までに△△をする、で決定です」と声に出して確認します。名前・期限・中身が一文で録音に残るので、AIが拾いやすく、照合するときも探しやすくなります。

出席者が多い会議では、発言の前に「加工場の○○です」と名乗ってもらうのも効果があります。最初は照れくさいものですが、数回で慣れます。

明日やれる一歩

次の会議の議事録に、決定・担当・数字・日付の4種類へ蛍光ペン(画面ならマーカー)を引き、その箇所だけ録音で聞き直してください。10分ほどで済みます。全部を読み直すより軽く、AIの時短効果もほぼ残ります。注意する場所さえ決めておけば、AI議事録は心強い記録係になります。