想定問答50本は4ステップで作れる
電話応対マニュアルは、作った当初は立派でも、半年もすると誰も開かなくなります。道の駅や観光施設では、営業時間、駐車場、団体予約、雪の日の道路状況、お土産の発送など、聞かれることが季節で変わるためです。
そこで、マニュアルを「読み物」から「想定問答集」に作り直します。AIに下書きを任せれば、50本でも数時間で形になります。流れは次の4ステップです。
手順1: 実際の電話を20〜30件メモする
最初にやるのは、AIを開くことではなく、ここ1〜2週間に受けた電話の内容を書き出すことです。付箋でも手帳でも構いません。「誰から」「何を聞かれたか」だけを残します。個人名や電話番号は書かないでください。
なぜこの順番か。机上で想像した質問より、実際に来た質問のほうが本番に効くからです。私たちが見てきた現場でも、想像で作った問答は「営業時間」「場所」ばかりに偏り、本当に困る「予約の変更」「クレーム」「団体の見積もり」が抜けがちです。
手順2: 5つのカテゴリに分ける
メモを次の5つに仕分けます。
- 基本情報(営業時間・休業日・アクセス・駐車場)
- 予約・料金(団体、体験、変更・キャンセル)
- 商品・サービス(産直品、発送、アレルギー)
- 天候・災害・臨時休業
- 苦情・判断に迷うもの
カテゴリごとに10本前後を目安にすると、合計50本になります。
手順3: AIに10本ずつ生成させる
AIには、次のプロンプトをそのまま貼り付けて使えます。【 】の部分だけ書き換えてください。
あなたは【施設名(例: 道の駅)】の電話対応担当のトレーナーです。
以下の【カテゴリ名】に関する、お客様からの電話の想定問答を10本作ってください。
# 前提(この情報だけを使うこと)
- 営業時間: 【 】
- 休業日: 【 】
- 料金・予約ルール: 【 】
- 分からないことは推測せず「担当者に確認します」と答える形にする
# 実際にあった問い合わせメモ
【ここにメモを貼る】
# 出力形式
Q(お客様の言葉)/A(電話口で話す言葉・60字以内)/注意点(1行)
高齢のお客様にも伝わる、やさしい言葉で書くこと。
ポイントは「この情報だけを使うこと」と「推測しない」の2つです。AIは、書いていない料金や時間をそれらしく作ってしまうことがあります。
手順4: 現場で読み合わせ、修正する
出てきた問答を、実際に電話に出るスタッフ2〜3人で読み合わせます。言いにくい表現、事実と違う点に赤を入れ、修正内容をもう一度AIに渡して整えます。最後に、料金・時間などの事実は人が確定させます。
読み合わせは、目で読むより声に出すのがおすすめです。1人がお客様役でQを読み、もう1人が電話口のつもりでAを答えます。声に出すと、文字では気にならなかった長すぎる文や、言い慣れない敬語がすぐ分かります。詰まった箇所に印を付け、「自分ならこう言う」という言い方に書き換えていきます。
答えてよい問答と、回す問答を分ける
50本がそろったら、問答ごとに「その場で答えてよいもの」と「担当者に回すもの」の印を付けます。
- その場で答えてよい:営業時間、駐車場、商品の有無など、答えが決まっていて変わりにくいもの。
- 担当者に回す:団体の見積もり、キャンセルの扱い、苦情、天候による臨時休業の判断など、状況で答えが変わるもの。
回す問答には、Aの欄に「担当の者から折り返します。お名前とご連絡先を伺えますか」といった受け方を書いておきます。新人でも、答えずに受け止めるところまではできるようになります。
完成したら電話のそばに置く
共有フォルダに保存するだけでは、電話の最中には開かれません。カテゴリごとに1枚ずつ印刷し、電話の横にまとめて置きます。表紙に「最終更新日」と「直す担当者」を書いておくと、古い情報のまま使われ続けるのを防げます。
現場でよくある落とし穴
とくに多いのが、50本を一度に頼んでしまうことです。後半は内容が薄くなり、確認する側も疲れます。10本ずつ頼み、その都度直すほうが、結局早く仕上がります。
また、完成したら終わりにせず、季節の変わり目(雪の時期、観光シーズン前)に「今月新しく聞かれたこと」を3本ずつ足す運用にすると、マニュアルが生きたまま続きます。
明日やれる最初の一歩
明日は、電話のそばに1枚の紙を置き、かかってきた電話の内容を1行ずつ書くところから始めてください。1週間たまったら、上のプロンプトに貼るだけです。AIと設計の型があれば、自社のマニュアルは自社で作り直せます。