2026年8月2日、「AIが作ったものだと分かるようにする」ためのルールが、EUと米国カリフォルニア州で同じ日に動き出しました。海の向こうの法律の話ですが、新潟の現場にも無関係ではありません。

何が始まったのか

EUでは、AI法(AI Act)の透明性ルールの執行が始まりました。チャットボットのような対話型AIは、相手がAIであることを利用者に分かるようにすること。AIで作ったり加工したりした画像・動画・音声にはラベルを付け、機械でも見分けられる印を埋め込むこと。こうした義務の執行開始を、欧州委員会が7月31日に公表しています。

同じ8月2日には、米カリフォルニア州でも「AI透明性法」が施行されました。利用者が月100万人を超える大手AI提供社に、AI製コンテンツかどうかを判定する無料ツールの公開や、見えない透かしの埋め込みを求める内容で、施行日はEUに意図的に合わせたと報じられています。

「AIが作ったものは、そうと分かるようにして出す」という考え方が、世界の二大市場で同日に法律として動き出したわけです。

図1: 2026年8月2日に同時に始まったEUと米カリフォルニア州のAI表示ルールの比較

新潟の中小企業に届く変化

義務を負うのは主に大手のAI提供社で、日本の中小企業に今すぐ新しい義務が生じるわけではありません。それでも、現場に届く変化は2つあります。

良い変化は、ふだん使うAIツールに「AIで作った印」を付ける機能や、AI製かどうかを見分ける仕組みが標準装備されていくことです。AI製の偽口コミや偽サイトを見分けやすくなるのは、まじめな商売には追い風です。

注意したいのは、「AIで作ったことを隠さない」が当たり前になる流れです。お客様もチラシやSNSを見て「これはAIかな」という目を持ち始めます。チャットボットや外国語メニュー、SNSの文章をAIに手伝わせていることを、聞かれたときに答えにくい状態のほうが、これからは分が悪くなります。

「明かす」は手抜きの告白ではない

私はこの流れを、食品の原材料表示に近いものだと受け止めています。表示があるから、買う人は安心して選べる。表示がある=品質が低い、ではありません。道の駅や6次産業の方にはなじみ深い感覚のはずです。

「下書きはAI、確認は当店」と言える状態は、手抜きの告白ではなく、確認の仕組みがあることの表示です。逆に、明かすと気まずいと感じる使い方があるなら、それは人の確認が足りていないサインかもしれません。

図2: AI利用を隠して使う場合と明かして使う場合の違いの比較

明日やれる一歩

お客様の目に触れているもののうち、AIで作った・AIに手伝わせたものを3つ書き出してみてください。POPでもSNSの投稿文でも外国語の案内でも構いません。そして1つずつ、「聞かれて胸を張って答えられるか」を自問する。答えにくいと感じたものこそ、人の確認を一段厚くする候補です。ルールが日本に来る前にできる、安上がりな備えです。